葬祭ディレクターという仕事
葬祭ディレクターとは、「葬儀施行という職務において、社会的要請に応えられるように自らの認識を高め、技能を向上させ、個々の要請においては遺族の依頼・希望に応えられるだけの力を有し、且、施行においては部下を統括・指導して依頼に応じて十分な仕事を実現できるもの、あるいは、そうありたいと務める者」、厳密に言えばそんな人のことを指すのだそうです。正直、これを聞いてもピンとこないですよね。簡単に言ってしまえば、「葬祭に関わる知識を深く持ち、実際に葬儀を行うにあたって、遺族の意を汲み取り、相手の立場に立って対応ができ、希望以上の仕事を行える者」である。もちろん、葬祭ディレクターという仕事に自信と誇りを持ち、常に成長への努力を惜しまないことは言うまでもありません。
具体的な仕事内容としては、まず初めはアシスタントの業務から入ります。病院にご遺体とご遺族を迎えに行き、斎場や自宅へ送るとともにお通夜や葬儀の準備を手伝います。その他にも、祭壇に飾る写真の設置や果物・砂糖菓子の飾り付けなど、細々した作業がほとんどで、お客様と接する機会はまだまだ少ない段階になります。
その後業務を少しずつ任されるようになり、葬祭ディレクターとして働くことになると、ご遺体を所定の場所へ安置した後、ご遺族との打ち合わせに入ります。ご遺族は何かを決めるなどできない精神状態ですが、それを踏まえて対応し、きちんと打ち合わせをこなさなくてはなりません。そして、打ち合わせ内容をもとに式の準備をしていきます。火葬場・霊柩車・写真・料理・会葬・御礼状・スタッフなど必要な全てのものを手配しなくてはなりませんが、その期間は1〜2日しかありませんので、迅速に動く必要があります。設営準備にあたり、女性でも力仕事を強いられることも多々あります。設営が終われば実際に式が始まりますが、開式前はご遺族や僧侶との打ち合わせ、弔問客の誘導などで慌ただしく動き回り、式では司会・焼香案内・会葬御礼状や御礼品の配布・僧侶案内などを役割分担して行っていきます。葬儀が終われば一安心ですが、そこで終わりではありません。集金後、仏壇やお墓・法要などの情報を提供し、必要に応じて様々なサポートをするのです。
葬祭ディレクターはもちろん葬儀を執り行うのが仕事ですが、それだけでなく、ご遺族が心を整理し、安定させる時間・場を提供することも大切な仕事となります。