葬儀とは
葬儀というものを自分なりに表せ、と言われたらどのように表現しますか?
「暗い・怖い・悲しい・黒・あまり体験したくない」、そんな感じでしょうか。実際私も近づきたくない場であり、できるだけ関わりたくありませんでした。しかし、今回葬祭ディレクターという仕事を追求していくと、少し思っていたものと違うのかもしれないと思いました。葬儀に関わる仕事など、なぜ選ぶのだろうと不思議に思っていましたが、今となってはその気持ちがわかるような気がします。ウェディングプランナーとは位置としては真逆にあるようですが、実際の仕事に関しては似ているように思います。いえ、本当の意味でその人にとって一回きりのものであることを踏まえれば、より責任があり、よりやりがいがあるものです。
葬儀は故人の生き様を表現する最後の舞台です。人の性格が一人ひとり違うように、葬儀も十人十色、それぞれ異なります。人生が人それぞれ違うように、葬儀への想いもまた人それぞれ異なります。ただ故人を偲んで悲しむ場ではなく、残されたご遺族が故人の存在を記憶し、死を受け止める辛さを乗り越える、大切な儀式です。だからこそ、葬祭ディレクターという仕事はご遺族の想いに気づき、その想いを形にする大切な仕事なのです。ただ形式通りにやればいいというものではなく、時には故人の人生を、時にはご遺族の故人に対する想いを自らに投影して、多くの「気づき」を産み出し続けなければなりません。それは確かに知識や経験によって産まれる部分もありますが、それよりも他人を思いやれる優しさを持っているかが重要になるのです。